3次元測量と3次元地質モデルの作成事例
<概 要>
弊社では、CIM,i-ConstructionやICT施工に対応するため、平成30年を3D元年と位置づけ、3次元測量・設計と3次元地質モデルの作成に取り組んでいる。測量においては、UAVや地上レーザスキャナを用いた測量で3次元測量し、設計においては3次元CADを導入した。3次元地質モデルの作成については、本コンソーシアムで技術・品質向上に取り組むとともに技術研鑽に努めている。
今回、試験的に3次元測量と3次元地質モデルを作成したので事例報告する。
1.はじめに(経過)
3次元モデルの作成は、測量も含めて初めてであったため、小規模な範囲(100m以内)を前提に、弊社でのボーリング実績のある場所を選定した。
また、UAV飛行のため、交通量の少ない地域を選定した。
選定した対象地は、右図(フロー)に示す通り、豪雨災害により斜面崩壊した場所である。
当初は、簡易動的コーン貫入試験結果より、不安定土塊の除去と安定勾配による切土+補強土壁で対処したが、施工中に増破したため、対策工を再考するため、ボーリング調査を追加実施したものである。
2.3次元測量(70m✕70m✕15m)
UAVで撮影した写真データを3D点群データに変換し、地上レーザスキャナ(スキャン解像度25mm@50m)で得られた3D点群データと合成する事により3次元地形図を作成した。なお、基準点測量はGNSSを用いて実施した。
3.モデル作成箇所の地形・地質
対象地は、標高100m程度の低山地を通る町道で、海には急崖で面している。また、背面にはため池があり、水の供給が豊富な地域であった。地質は、新第三紀の凝灰岩で対象斜面の北側には安山岩が確認できた。凝灰岩は強風化しており、斜面上部は粘土化が進行していた。
4.地質モデルの作成結果
3次元地質モデル作成に用いる地形図は、3次元測量で得られた3D点群データを間引いて利用した。(データ量軽減のため)
今回の3次元地質モデルは、弊社で実施した2本のボーリング調査結果と、5箇所の簡易動的コーン貫入試験結果を用いて作成した。
表土と凝灰岩(D級~CL級)の単純な地質構成であったため、初めてのモデル作成であったが、スムーズに作成できた。
地下水位上昇が斜面崩壊の誘因と判断され、地下水面データを表示することにより、理解を得やすいモデルとなった。
図1 3D地形(点群を間引いて作成)
図2 3次元地質モデル
図3 代表的な地質断面
図4 地下水面を表示
4.今後の課題(問題点等)
今回の3Dモデル作成は、狭い範囲の単純な地質構成の事例であり、とりあえずやってみた感が拭いきれない。
今後は、もっと広い範囲のモデル作成(3次元測量も含め)や、複雑な地質構成のモデルにもチャレンジしていきたい。